研究活動
はやぶさ2
と
リュウグウ
Hayabusa2 and Ryugu

「はやぶさ2」ミッションの目的(科学的意義)
地球の海の源の水、生命の源の有機物がどのようにしてもたらされたのか、また地球を形作る岩石は水や有機物をどのように取り込み、相互的にどのような進化の歴史をたどってきたのかを解く鍵がC型小惑星にあると考えています。
C型小惑星の地形や物質および内部構造に関する情報を取得し、さらに複数の地点からのサンプル(小惑星のかけら)を地球に持ち帰ることで、地上の最新の分析機器を使って、C型小惑星の形成の歴史や、その天体に存在すると考えらえている水や有機物の特徴を調べ、地球の水や有機物との関係を調べます。
リターンサンプルの分析研究によって、太陽系のどこで水や有機物が形づくられ、小惑星上でどの程度物資進化したのか、そのような水や有機物は地球に運ばれ、地球の水や有機物のもととなり得たのかどうかを明らかにします。
リュウグウは1999年にリンカーン研究所によって発見された小惑星です。地上の望遠鏡の観測でC型小惑星であることがわかっていました。小惑星の中でも地球に近づく軌道を持つ近地球型小惑星に分類され、探査機が少ないエネルギー(燃料)で到達できる小惑星の一つとされていました。
JAXAは、「はやぶさ」に続く次のサンプルリターンミッションのターゲットをS型小惑星(「はやぶさ」が探査した小惑星イトカワはこのタイプ)と異なるタイプのC型小惑星とし、「はやぶさ2」の探査対象として、小惑星1999JU3(当時の名前)が選ばれました。
リュウグウは「はやぶさ2」が近傍探査するまでは、その軌道とおおよその大きさ(約1km)と自転周期(約7.6時間)ぐらいしかわかっていませんでした。
「はやぶさ2」はリュウグウに到着した後、搭載した科学観測機器を用いて、小惑星の大きさ、形、重力を精密に調べると同時に、表面物質の調査等を行いました。その結果、
- リュウグウがコマを上下に重ねたような形をしており、平均半径は約450mであること
- バルク密度が1.19±0.03g/cm3であり、炭素質コンドライトの密度を想定すると、全体として、50-60%の空隙率を持つこと
- 表面全域に10mを超える大きな岩塊が多く存在し、リュウグウ表面物質の反射率は4.5%程度しかなく、典型的な炭素質コンドライトよりも暗いこと
- 表面全域に2.72μmの吸収が見られるが含水鉱物を含む炭素質コンドライトに比べて吸収が弱いこと
などを明らかにしました。

「リュウグウ」

- 平均半径:約450m
- 密度:1.19±0.03g/cm3
- 空隙率:50-60%
- 表面物質の反射率:4.5%程度
- 表面全域に2.72µmの吸収

また、衝突装置を用いて人工クレータの生成実験を行い。小惑星表面物質の物性に関する情報を取得すると同時に、表層地下物質を露出させ、表層物質との違いを明らかにしました。人工クレータ生成後には、クレータからの放出物が堆積している、人工クレータ近傍領域からの試料採取にも成功し、帰還試料分析の期待が高まっています。
惑星物質試料受入れ設備(地球外試料キュレーションセンター)では、2020年12月、探査機「はやぶさ2」が小惑星リュウグウから持ち帰った試料を受入れました。
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