地球外物質研究グループ|宇宙科学研究所

MetSoc2026(国際隕石学会)参加報告:Ryugu・Bennu研究の進展とMMXに向けたキュレーション

2026年8月10日~14日にかけて、ドイツ・フランクフルトのゲーテ大学ウエストエンドキャンパスにて、第88回国際隕石学会(Meteoritical Society)が開催されました。夏の強い日差しが降り注ぐフランクフルトに世界中から研究者が集まり、最新の研究成果が発表されました。

小惑星Ryugu, Bennu試料の帰還の研究成果が次々と報告される中、本学会では特に両者の鉱物学的・化学的特徴や有機物の特徴を比較することで、より科学的意義を深めた研究成果が数多く報告されていたことが印象的でした。類似したタイプの小惑星を対象に2つのサンプルリターンが実現したことに加えて、一昨年6月にはモロッコで、新たなCIコンドライト(小惑星Ryugu, Bennu試料と類似のタイプ)である「Oued Chebeika 002」が発見されました。これらの試料を比較することで、含水始原小惑星の物質進化過程への理解が急速に深まりつつあります。もちろん研究対象は小惑星だけに限らず、火星や月などの分化天体に関する研究も数多く発表されていました。

ASRG(地球外物質研究グループ)からも3件の口頭発表、4件のポスター発表を行いました。JAXAにおけるこれまでの地球外試料キュレーションの取り組みと現状を報告したほか、いよいよ打ち上げが迫ってきた火星衛星探査計画(MMX)のキュレーション準備状況の発表については、大きな関心が寄せられていました。また、ASRGが主導する「リュウグウリファレンス計画(RRP)(https://curation.isas.jaxa.jp/rrp/)」に向けた最近の取り組みや、将来ミッションを見据えた粉体惑星試料キュレーション、低温惑星試料キュレーションの開発状況についても報告し、国内外の科学者・技術者と活発な議論を交わしました。
技術的な課題には世界共通のものも多く、互いの強みや経験を共有することで、次の一歩に向けたヒントを得られることも、学会に参加する大きな意義の一つであると改めて感じました。

乾燥した真夏のドイツで、無事に発表を終えた後、ビールで交わした乾杯は格別でした。
また、8月12日のバンケットの時間には、部分日食を見ることができました。会場では日食メガネが配布され、熱心に空を見上げる人や、ピンホールを通して映し出される三日月形の太陽の像を楽しむ人など、参加者は皆、思い思いに童心に返って日食を楽しんでいました。宇宙科学を探求する研究者が集う学会の最中に、このような天体現象を皆で楽しむことができたことにも、素敵な巡り合わせを感じました。

MMXの打ち上げ成功と、来年の隕石学会がより一層盛り上がることを楽しみに、帰国の途に就きました。
(文・榎戸研究開発員)

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