【研究成果】 MMXによる火星の衛星フォボスサンプルリターンのキュレーション
JAXAのサンプルリターン探査MMX (Martian Moons eXploration)では、2031年に火星衛星の一つであるフォボスから試料を持ち帰る予定です。JAXAキュレーションチームとMMXのサンプル分析ワーキングチームは、はやぶさ・はやぶさ2・OSIRIS-RExミッションの経験を活かし、フォボス試料キュレーションの工程をつくりました。
フォボス試料のキュレーションは、これまでのサンプルリターンと違った点がいくつかあります。まずキュレーションはスピーディに行われ、帰還から数ヶ月(3ヶ月が目標!)後には研究者のもとにサンプルが配られる予定です。またフォボス試料の観察に用いられる装置は、MMXのリモートセンシング・その場分析機器開発のチーム(MIRS・OROCHI・RAXなど)と共同で行われます。帰還してまもなく行われるキュレーションの工程で、フォボスの起源に迫る情報が得られることを期待しています。
<論文著者からひとこと>
フォボス試料は、これまでのサンプルリターンの中でも群を抜いて、「何が来るかわからない」と思っています。月のような岩石なのか、始原的な小惑星の石なのか、火星の石が混ざっているのか...世界中の研究者の期待に応えられるよう、キュレーション準備を着実に進めます。
発表論文
掲載誌: Meteoritics & Planetary Science
タイトル: Curation protocol of Phobos sample returned by Martian Moons eXploration
著者: Fukai, R. et al.
DOI: 10.1111/maps.14121
URL: https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/maps.14121
論文公開日: 2024年1月11日