地球外物質研究グループ|宇宙科学研究所

【研究成果】 リュウグウ粒子のバルク密度(最新版)と粒子の形状についての考察

 Ryugu粒子637個(全帰還試料の38重量%に相当)のバルク密度を求めました。Ryugu粒子の平均バルク密度は1.79 ± 0.31 g/cm3で、CI炭素質コンドライト(Orgueil)隕石のバルク密度に近い値です。さらにA室とC室では、粒子のバルク密度分布が(違いは小さいながらも)統計的に異なることを示しました。Ryugu粒子のバルク密度は、採取場所によって異なる可能性があります。

 724個のRyugu粒子(~10㎜)の3D形状も解析し、はやぶさ2タッチダウンの際にRyugu表面よりまきあげられた数センチサイズの「フライングパーティクル(飛散粒子)」と、3D形状が似ていることがわかりました。帰還の際に容器内で摩耗したのか、ほんの少しだけ帰還粒子は丸みを帯びています。

A)リュウグウ粒子のバルク密度(割れ目も空隙も含めた粒子全体の密度)を重量に対してプロットしたもの。RG_NTはNakamura et al.(2022b)による16個のリュウグウ粒子の密度の範囲を示し、緑色の線は平均値1.79 g/cm3を示す。 “Or ”または “TL” はOrgueil(Or)と Tagish Lake(TL)隕石の密度範囲を示し、“_”以降の文字は引用文献の著者を示す。B)各チャンバーにおけるリュウグウ粒子の密度分布( A室:赤、C室:青 )。C)リュウグウ粒子と飛散粒子の3次元形状を比較した図。

<論文著者から一言>
JAXAキュレーションならではのデータ数の多さという利点を生かし、A室とC室の粒子でバルク密度に(小さいながらも)違いを見つけたときには、かなりワクワクしました。ご教示いただいたみなさまに感謝しております。今後の研究成果に期待しています。(宮崎明子 主任研究開発員)

発表論文

掲載誌: Earth, Planets and Space
タイトル: A newly revised estimation of bulk densities and examination of the shape of individual Ryugu grains
著者: Miyazaki, A. et al.
DOI: 10.1186/s40623-023-01904-6
URL: https://doi.org/10.1186/s40623-023-01904-6
論文公開日: 2023年11月15日

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