【研究成果】 赤外分光測定からわかったリュウグウ試料の均質性
地球外物質研究グループは、赤外顕微鏡及びフーリエ変換赤外分光光度計(FT-IR)を用いて100個以上のリュウグウ試料表面の分析を行いました。
粒子試料及び集合体試料から得られたスペクトルを統計解析した結果、本研究で用いた波長域(1〜5μm)の赤外分光により検出可能な成分(反射率の違い、含水鉱物・炭酸塩鉱物・有機物の有無)で見ると、リュウグウを構成する物質は非常に均質であることを明らかにしました。
詳細に見ると、赤外光の反射率が低くOH基(結晶水)の深い赤外吸収を持つケイ酸塩鉱物が大部分を占め、稀に数百μm以上の白色の炭酸塩鉱物や水酸化物粒子、金属光沢を有する硫化鉱物などを含むことが分かりました。
<論文著者からひとこと>
今回の論文で紹介している赤外分光分析は、試料にダメージを与えることなくその特徴をある程度とらえることができる測定方法です(X線や紫外線も試料を傷つけることがあります)。JAXAキュレーションでは、宇宙から持って帰ってきた貴重な試料を、新鮮なまま、かつできるだけ多くの情報を付けて、これから研究を行う研究者に提供できるよう努めています。
発表論文
掲載誌: Earth, Planets and Space
タイトル: Homogeneity and heterogeneity in near-infrared FTIR spectra of Ryugu returned samples
著者: Hatakeda, K. et al.
DOI: 10.1186/s40623-023-01784-w
URL: https://earth-planets-space.springeropen.com/articles/10.1186/s40623-023-01784-w
論文公開日: 2023年3月28日(日本時間)