小惑星探査機「はやぶさ2」試料受入準備にかかる連携協定等の締結について
宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、小惑星探査機「はやぶさ2」によって小惑星からもたらされる試料の受け入れ準備として、以下の機関と連携のための協定を締結することとなりましたのでお知らせします。連携協定 | ||
独立行政法人 海洋研究開発機構(高知コア研究所) |
大学共同利用機関法人 情報・システム研究機構 国立極地研究所(南極隕石ラボラトリー) |
大学共同利用機関法人 自然科学研究機構 分子科学研究所 |
共同研究契約 |
公益財団法人 高輝度光科学研究センター(JASRI/SPring-8) |
- 概要
「はやぶさ2」によって小惑星からもたらされる試料について、JAXAは、効率的に分析や研究を行うため、国内・国外の各研究機関に試料を分け、協力して分析を進めることとしています。
他機関と連携して分析を行うためには、JAXAから他機関への輸送の際に地球物質の混入を避け、各機関で高い清浄度を保ちながら分析できるよう、輸送容器や試料分析用ホルダの開発、分析時の汚染評価基準の統一化などを行う必要があります。
例えばJAXAでは、地球物質が小惑星物質と混ざらないように、ごみの粒子の量が一般的な室内の10000分の1という高い清浄度を保ったクリーンルーム内で、電子顕微鏡やX線回折装置、X線CT装置などを使用し、粒子がどのような鉱物を含んでいるかを調べたり、それぞれの鉱物が粒子内でどのように分布しているかを調べたり、化学組成を分析したりすることを計画しています。また、赤外線分光装置やRaman分光装置を用い、有機物の分子の有無や分子構造の基礎的データを取得します。
今回、「はやぶさ2」の小惑星帰還試料分析の準備段階として、国内の研究機関と、試料の施設間輸送システムの、仕様検討・技術情報交換、開発に向けた研究協力及び以下の項目について、人的交流、情報共有、技術共有を行うために、連携協定・共同研究契約を締結しました。貴重な試料から引き出される知見を最大限にするように、各機関と協力しながら準備を進める予定です。
- 各機関との協力内容
1. 独立行政法人海洋研究開発機構 JAMSTEC(高知コア研究所)
〒783-8502 高知県南国市物部乙200
・協力内容:
有機物、水や揮発性元素などを含む地球内外試料についての最適な分析・保管・配分方法及び分析システムの構築に関して協力を行う。・JAMSTECとは「独立行政法人宇宙航空研究開発機構と独立行政法人海洋研究開発機構との連携協定」第5条に基づく個別の取決めとして本件を実施するものです。- 元素の高精度・高空間分解能の質量分析や高解像度組織観察などの各種分析法(主に「破壊分析」)における非汚染分析システム及び地球物質による汚染評価法の検討、研究協力
2. 大学共同利用機関法人自然科学研究機構 分子科学研究所
〒444-8585 愛知県岡崎市明大寺町字西郷中38番地
・協力内容:
「有機物分析」における地球物質の混入・汚染を排除した分析手法の検討
- 走査型軟X線顕微鏡(STXM)及びX線吸収端近傍微細構造分析(NEXAFS)によるナノスケールの有機物のX非汚染分析手法、地球有機物による汚染評価システムの検討、研究協力
3. 大学共同利用機関法人情報・システム研究機構 国立極地研究所(南極隕石ラボラトリー)
〒190-8518 東京都立川市緑町10-3
・協力内容:
南極から採取された世界最大級の隕石・宇宙塵コレクションを活用した分析手法の検討及び地球物質による汚染評価方法の検討
- 隕石・宇宙塵コレクションを利用した地球外試料の分析・管理に関する検討、研究協力
- レーザーアブレーション誘導結合プラズマ質量分析計(LA-ICP-MS)等を用いた、試料分析時の地球物質による汚染評価方法の技術情報交換、研究協力
4. 公益財団法人高輝度光科学研究センター(JASRI/SPring-8)
〒679-5148 兵庫県佐用郡佐用町光都1丁目1-1
・協力内容:
地球外試料の、「非破壊分析」を用いた地球物質の混入・汚染を受けない分析システム構築・共同研究契約として実施されます。
- 放射光CT等の非破壊分析装置を用いた、非汚染分析システムの検討、技術・情報交換