はやぶさ試料関連用語集

キュレーションセンターでは様々な独特の用語が使用されています。わかりにくく、誤解を招くことが多いので、一部をここで説明しています。

そもそもキュレーション(curation)とは?

キュレーションとは、試料を保管し、配分する作業だけを指すわけではありません。 キュレーションとは、試料の価値を最大限に高めるために必要な、あらゆる作業を指します。試料の保管、記載、研究者への配分なども当然、キュレーション作業になります。さらに、試料から得られる科学成果を最大化するために、最先端の研究を実施することもキュレーションの重要な作業です。地球外物質研究グループのメンバーは、試料から得られた情報をもとに惑星科学に関する研究を自ら実施し、積極的に成果を発表しています。

用語 英語 説明
初期記載 initial description 地球外物質研究グループだけで行う、試料の基礎的な情報収集の過程です。試料を加工したりすることはせず、常に地球大気から遮断された状態で、試料ダメージ、汚染を最小限にするために細心の注意を払って実施されます。全ての初期記載データはカタログ化され、ウェブページで閲覧することが可能です。初期記載の作業は、初期分析、国際AOの期間も地球外物質研究グループのメンバーによって休むこと無く継続して行われています。
初期分析 preliminary examination はやぶさ1では日本国内の大学・研究機関と共同で実施された、試料に対して実施される最初の詳細な分析です。試料を加工し、最先端の機器を使用して高精度の分析を行い、採取された試料がどのような特徴を持っているかを調べます。初期分析の成果は2011年の科学雑誌Science誌の特集号、2012年のProceedings of the National Academy of Sciences誌、及び2014年のMeteoritics and Planetary Science誌に掲載されています。
国際AO international announcement of opportunity 初期分析後に行われる、世界中の研究者が自由に参加できるはやぶさ試料をつかった研究の公募です。研究者は指定の様式に従って計画書を作成して研究を提案します。提出された研究計画はまとめられ、世界の研究者で組織された委員会によって選抜が行われます。合格した研究計画に対して、限られた数の試料が配分されます。研究者はこの試料を使って研究し、成果を論文として発表することが求められています。また、試料は譲渡では無く貸与であるため、研究終了後は地球外試料キュレーションセンターに返却されます。
サンプルキャッチャー sample catcher サンプルコンテナの中に格納されている、試料が直接納められているケースです。現在はキャッチャーハンドリング容器という、特殊な容器の中に保管されています。内部はA室とB室に分かれており、2回のタッチダウンで得られた試料を別々に保管しています。また、2つの部屋の間に、試料を振り分けるための機構である回転筒という部分があります。
A室 room A 2回目のタッチダウンの際の試料が納められています。最初に試料が回収されたのはこのA室からでした。
B室 room B 1回目のタッチダウンの際の試料が納められています。
回転筒 rotational cylinder 回収された粒子をA室、B室に振り分けるために作られた、サンプルキャッチャー内の機構部です。各室に振り分けられていない試料が存在し、回収を試みています。
サンプルコンテナ sample container 探査機はやぶさのなかで、サンプルキャッチャーが保管されていた容器です。密閉できるようになっており、地球帰還後、試料を大気や地球の汚染からサンプルキャッチャーを守る役目がありました。小惑星イトカワでの試料採取が終わった後、地球への出発時に密閉されました。
サンプルカプセル
(再突入カプセル)
sample capsule
(re-entry capsule)
探査機はやぶさが最後に切り離したパーツです。サンプルコンテナ、さらにその中にサンプルキャッチャーが格納されています。
1室 Clean Chamber1 キュレーションセンターに備え付けられている試料を扱うための特殊なケースです。2室と連結されています。サンプルコンテナはこの中ではじめて開封され、中のガスの採取、サンプルキャッチャーの取り出しなどが行われました。現在は試料の保管・一時退避に使われています。
2室 Clean Chamber2 キュレーションセンターに備え付けられている試料を扱うための特殊なケースです。1室と連結されています。現在の試料の採取作業はすべてこの中で行われています。JAXAが開発した静電制御マニピュレータなどはここに設置されています。
はやぶさ帰還試料 Hayabusa-returned sample サンプルキャッチャーの中にある全ての試料を指します。中には小惑星イトカワの物質では無い、汚染物質なども含まれています。
イトカワ粒子 Itokawa particle はやぶさ帰還試料のうち、小惑星イトカワの物質であることが証明されたものになります。
カテゴリ category 化学組成にもとづく、はやぶさ帰還試料の分類です。カテゴリ1と2の粒子は、小惑星イトカワの岩石試料である事が、初期分析によって証明されました。従って、このカテゴリ1、2の粒子は、上記の定義に従い、イトカワ粒子とよばれます。