火星衛星サンプルリターンイメージ

火星衛星サンプルリターンへの取り組み

 2つある火星衛星のうち、内側の軌道を回るフォボス(Phobos)はD型小惑星と同等の反射スペクトルを示すことが知られており、そのサンプルリターン計画は、普通コンドライトの母天体であるS型小惑星からのサンプルリターンに成功した「はやぶさ」、炭素質コンドライトの母天体と考えられているC型小惑星からのサンプルリターンを計画している「はやぶさ2」につづく、太陽系の始原的な物質のサンプルリターンの後継と考えることができます。

 D型の小惑星は1997年にカナダのタギッシュレイク(Tagish Lake)に落下した隕石と反射スペクトルの関連がある事が知られています。このタギッシュレイク隕石は、炭素質コンドライトに分類されていますが、その中でもさらに特異な組成を持つことが知られています。特に、他の炭素質コンドライトと比較しても10倍近いという、極めて高い有機物の含有量が特徴です。

 このD型の小惑星と同等の天体であるフォボスがどのようにして火星の衛星となったのかはわかっていません。また、きわめて火星に近い軌道を回っている事から、火星大気や噴出物の影響を受けていることなどが期待されており、地球-月に続く、新たな固体惑星の衛星系の形成メカニズムに対する情報が得られることが期待されています。

 地球外物質研究グループは、人類初の火星衛星サンプルリターンに対しても積極的に協力してきたいと考えています。
 惑星物質分析のスペシャリストの観点から試料受け入れへの検討の他、探査機の検出器の検討にメンバーが参加するなど、多方面からの貢献を始めています。